コラム column

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平成29年廃棄物処理法改正のポイント

平成23年度施行の前回大改正から5年が経過し、見直された廃棄物処理法。
平成29年6月に改正公布された法律の、施行令が平成30年1月に、施行規則が2月に確定し、4月の施行(一部には経過措置あり)を迎えようとしている。一般的に把握しておくべき改正のポイントは7つである。

① 電子マニフェストの一部義務化 (経過措置があり、平成32年度からの施行)

紙か電子か選択できるマニフェスト。一部の事業者では電子化を義務付けへ

電子化の対象
PCB廃棄物を除いた特別管理産業廃棄物の多量排出事業者と考える
※前々年度のPCB廃棄物以外の排出量が年間50t以上である排出事業場が対象
※その事業場のすべての産業廃棄物が義務化ではなく、PCB廃棄物以外の特管産廃が対象
※義務化の事業場を有する法人の、他の事業場は対象外
考えよう
将来的には、普通産廃の多量排出事業者も対象になるか・・・
⇒平成4年に特管産廃マニフェストが義務化され、平成10年に普通産廃に拡大された、という経緯を考えれば、将来的に普通産廃の多量排出事業者にも電子化が義務づけされることは想像できる未来。

② 親子会社間の自ら処理の認定

グループ企業間で処理業許可を有して処理委託している場合、認定で自ら処理と考えられる

認定のためのハードル:これらのハードルを越えて認定を受けるメリットがあるか!?
①いわゆる100%子会社であるか、同等の親子関係であること
⇒同等の条件は、3分の2以上の株式保有&役員の出向&かつては同一法人であったこと
②認定を受けるグループ企業のうち、少なくとも1社は業許可が必要な処理を行っていること
⇒その処理には、処分だけではなく収集運搬も想定される。その処理は、基準に適合していること。
③認定を受けるための申請書類は、ほぼ処理業許可の申請であること
⇒事業概要、一連の処理工程、定款、登記簿謄本、役員の氏名などの申請書類の作成が必要
考えよう
単に保管場所を共有している場合、代表する会社がまとめて委託契約できる?
⇒②のハードルの「処理」に「事業場内の運搬」が含まれると考えれば、認定を受けられる可能性はある。
しかし、法令が想定している「処理」は、「業許可が必要なレベルの処理」である。
今まで、事業場内の運搬において、業許可が必要であるとして、グループ会社間で委託を行っていただろうか?この認定に合わせて、今まで許可不要だったものを、本当は許可が必要だったと判断することに矛盾がある。単に保管場所を共有しているものの排出事業者を代表する1社とする認定は、今回の法改正の主旨ではない。

③ 許可失効業者の処理困難通知

前回の大改正で創設の処理困難通知。許可が失効した場合も当然対象となるべきで、制度を整えた

④ 雑品スクラップの保管届出義務

廃棄物でないものへの廃棄物処理法初の規制。規制の網がかからなかった処理フローの把握

届出の対象となる事業者とは
「有害使用済機器(=いわゆる雑品スクラップ、有価物)」の保管又は処分を業として行う者
⇒「有害使用済機器」とは、家電リサイクル法4品目と、小型家電リサイクル法28品目が対象。
※排出事業者が、「有害使用済機器」の保管を行う場合は対象外と考えてよい(リース会社がリースアップされた機器を一時保管する場合なども対象外)
※産業廃棄物処理業者が、許可を受けた敷地内で「有害使用済機器」の保管を行う場合は対象外
※その他、家電リサイクル法の認定施設など、他の法令の規制を受けている施設も対象外と考える
※事業場の敷地面積100㎡未満など、小規模な場合も対象外
届出した場合の保管基準とは
通常の保管基準(囲いや掲示板の設置)に加えて、以下の特有の基準が創設されている。
・保管の最大高さを「5m」とし、上限を設定
・保管面積の一単位を200㎡とし、離隔を2mとること
(これは消防法の指定可燃物等に見られる規制に酷似。火災時の延焼予防も目的である)
考えよう
この制度の創設は、規制というよりも現状の把握を目的としている。
⇒対象となる機器には、バッテリーや自動販売機なども追加の余地があり、見直しの可能性がある。
合わせて検討会資料が公開されていることからも、今後の規制を検討する第一段階である。
考えよう
保管届出の対象となる施設への引き渡しにおいて、排出側がチェックする必要があるか?
⇒あくまでも有価物が対象であり、廃棄物の排出事業者責任を求める規定の対象とはならない。
有価物の売却先となる届出対象施設に対し、排出側が届出の有無をチェックする義務はない。
しかし、不適正処理につながった場合には排出段階から廃棄物であったと判断されるリスクはある。
⇒廃棄物処理法の主旨から、排出側がチェックすることを独自に義務とすることも考えられる。
(改正前も、有価物の売却先を施設確認の対象としている場合はあり、同じ位置づけである)

⑤ 措置命令の対象強化

③許可失効業者、④雑品スクラップ業者も対象。指導のために許可を取り消さない矛盾解消

⇒従来、許可を失った処理業者は廃棄物処理法の規制の対象外のように捉えられ、その指導対象ではなかった。一方、廃棄物処理法違反が認められた場合には、欠格要件に該当し、厳格に許可を取り消すべきとされている。
ここから、図らずも、指導を継続するために許可取消を先延ばしにする行政の対応も見受けられたとされる。これらの矛盾を③処理失効業者の処理困難通知の改正内容と合わせて解消する内容である。

⑥ マニフェストの罰則強化

マニフェストの罰則が倍増の「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に。虚偽記載の抑止力に

⑦ 電子マニフェスト3日ルールに休日等を含まない緩和
(経過措置があり、平成31年度からの施行)

土・日・祝日・年末年始は3日ルールにカウントしない。やや疑問が残る規制緩和か

⇒この緩和措置には、以下の2つの疑問がある。
・即日交付が原則であるマニフェストにおいて、その期間を延長するという方向性でよいのか。
(引渡し時にインターネット接続が無ければ、、、とされる登録も、スマホでできる時代。)
・土日祝日がすべての業種の休日ではないのではないか。
とはいえ、順守したくとも、3連休を挟む回収情報の登録ではルールを守り難かった実態もある。